中村 路夫, 西川 秀司, 小野澤 真弘, 高木 貴久子, 阿保 大介, 工藤 俊彦, 永坂 敦, 若浜 理, 樋口 晶文, 向井 正也, 大山 徳子, 久保 公三, 宮崎 知保子, 岸本 充, 立野 正敏, 佐藤 英俊
市立札幌病院医誌 61(1) 3-8 2001年6月
68歳男.咳嗽と夕方の発熱が持続した.白血球増多を指摘され,入院した.腹部CT検査で胆嚢癌が認められた.胆嚢癌は手術適応なしと判断し,発熱に対し抗生剤,NSAIDsを投与して対症的に経過観察した.経過中,naproxen,ampiroxicamが原因と考えられる薬疹が出現したため,これらの薬剤は中止し,diclofenac sodiumに変更した.全身状態の改善が認められたため,一時退院となったが,体重減少・全身倦怠感・浮腫など全身状態の悪化が見られたため,再入院となった.腫瘍サイズは2倍以上に増大し,肝転移像も認めた.徐々に全身状態は悪化し,死亡した.組織学的所見では,多形核を有する異型細胞の増殖が見られ,低分化腺癌と診断した.又,腫瘍細胞は抗G-CSF抗体を用いた免疫染色で陽性で,G-CSF産生腫瘍と考えた